世界大戦への道35-アメリカの聖戦

アメリカの教会の第一次世界大戦への態度は最初中立であった。20世紀初頭のアメリカの教会は社会進歩派で「神の世界が急速に近づいた」と信じ、C・ルーズベルトの社会改良を支持して理想的な神の世界を作るために社会活動と共に伝道も行った、外国伝道もすすめ、世界的には平和主義となっていた。

ところが戦争が激化するにつれ、イギリス系人より反ドイツの宣伝が行われるようになった。そして米国教会の世論は平和主義と戦争関与の2つに分かれるようになる。1916年はウィルソン大統領は「彼は我々を戦争から守ってくれる」というキャッチフレーズで辛勝した。

しかし17年にアメリカが参戦を決定した後は戦争協力に国民をまとめたのは教会と新聞だったといわれる。「この戦争に我々を招集しているのは神である。これは聖戦である」なんとこの説教では十字軍だと言っているのだから。そしてドイツ皇帝が悪魔化されるということで聖戦のつじつまを合わせたのだ。

第一次大戦が終わると、反ドイツの宣伝が過剰だったと反省し、「深い悔い改めの時期」に入ったとされる、そしてまた平和運動が復活し、国際連盟にも賛成した。しかしその後ヒトラーが台頭し、決定的な真珠湾事件が起こると再び戦争協力に態度を変えた。しかし戦争を聖戦とまで呼ぶことはなかった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。