世界大戦への道33-スペイン参戦せず

第一次世界大戦の勃発ではスペインは絶対中立という立場を取った。スペイン王アルフォンソ13世の母后はオーストリア出身であり、王妃はイギリス出身だった。もともと王家はフランスの支持で成り立っており、フランスとの縁も深い、しかし教会はオーストリア支持、さらにモロッコ問題でドイツと仲が悪い。

ということで国内が分裂している中で参戦しようにもできなかったのである。フランスはスペイン、オーストリアの挟撃を歴史的に恐れて手を打ってきたが、ここに実ったというべきである。もしスペインがオーストリア側につけば戦争の行方は変わっていたかもしれない。

しかし中立になったおけげで、スペインには戦争特需がもたらされた。ビルバオで豊かな鉄鉱石が見つかってからバスク地方は19世紀末からヨーロッパ最高の鉄鋼を生産していた。そして工業が盛んとなっていたカタルーニャ地方と並んで経済はおおいに発展した。

一方民生品を輸入に頼っていたスペインは、戦争の海上封鎖で交易ルートが遮断されて物価高騰に襲われた。特に中央部の農業地域は影響が大きくなる。この戦争の中で工業と農業、ブルジョアと労働者との格差が大きくなり、それは戦後の政治の混乱をもたらすのである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。