世界大戦へ24-身分差結婚の軋轢

オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世は、なんと在位65年当時84歳の高齢である。普墺戦争に敗れ、帝国をオーストリア=ハンガリー二重帝国と改組し、ウィーン改造を行って繁栄を取り戻した。が絶世の美女だが自由主義的な皇后エリザベートを亡くし、その前にはルドルフ皇太子を心中事件で亡くしていた。

サラエボ事件の被害者で皇位継承者フランツ・フェルディナンドは甥にあたる、しかし政治的意見は対立していた。あまつさえ彼の夫人ゾフィーはボヘミア貴族出身で、まわりの反対を押し切り、子供の皇位継承権を放棄することで結婚できた。結婚式には皇族は誰も来なかった。

ゾフィーは公式行事で夫の隣に座ることも許されなかった。サラエボへの同行を許されたことで他国でやっと一緒に並ぶことができたのである。これを契機に妻の立場を改善しようとフェルディナンドは考えていたようだ。そして彼女は妊娠していた。

凶弾は最初にゾフィーに当たり、フェルディナンドは「ゾフィー死ぬな!子供達のために生きてくれ」と叫び、意識を失った。夫妻の暗殺を知った皇帝は「恐ろしいことだ。全能の神に逆らって報いなしには済まない。余が不幸にも支えられなかった古い秩序を、より高い力が立て直して下さった」と伝えられる、皇帝は結婚にこだわっていたのである、その古い秩序はまもなく崩壊するのだが。

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。