1913年「ミラボー橋」で知られる20世紀を代表する詩人ギョーム・アポリネールの詩集「アルコール」が発表された。彼はポーランド系のイタリア生まれ。モナコやベルギーを経てパリに行き、ボヘミアン生活を送った。その中でピカソなどの若い芸術家と交流を持つ。
そして有名なのが女流画家マリー・ローランサンとの恋愛である。二人は1907年から5年間つきあい、仲間内で有名なカップルとなったが、破局を迎えた。そして詩集の最初に彼は書く「とうとうお前はこの古い世界が嫌になった」実は彼はローランサンのみならずあちこちで恋をして詩集はヨーロッパを股にかけた失恋詩集となった。
19世紀の象徴派詩人はボードレールやランボー、マラルメにしても現実に失望して、自分の中に宇宙をつくり、その王としてひきこもる。しかしアポリネールは、古い世界から新しい世界が生まれる20世紀初頭の混沌たる「飛行機よりも高く上るキリスト」の世界を描くことで自分を再生させようとするのである。
ミラボー橋は1897年に完成し、その傍で恋人は住んだ。恋は過ぎる この流れのように。まさにベルエポックが終ろうとしていた。しかし時の流れを惜しみながら詩人は、未来を見て15-なんと希望は激しいのだ、と謳うのだ。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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