現代芸術14-芸術の破壊「未来派」

ピカソの伝統芸術への挑戦はさらに続く。1912年には「ギター 楽譜 グラス」を制作したがここには楽譜の一部が張り付けられている、彼は伝統のオリジナルという概念に挑戦したのだ、これは後にマスセル・デュシャンのダダイズムやアンディ・ウォーホルのポップアートにつながっていく。

さらに左下には新聞の見出しが貼りつけられているが、これはなんと第一次バルカン戦争勃発の特ダネである、ピカソは絵画の中に時事を入れ込み、これは後に最高傑作「ゲルニカ」で大成する。彼は戦争と激動する時世の中で、美術とは何かを試行錯誤していたのだ。

1909年、イタリアの詩人マリネッティによって「未来主義創立宣言」が発せられた。未来派は20世紀の都市化や鉄道、自動車の速度や騒音を賛美し、旧世界の破壊をほめたたえる。マリネッティは「パローレ・イン・リベルタ(自由な言語)」で文字を象形文字のように使った。

右の作品では、Mが山、Vが谷、Sが道を表し、その間には「フランス万歳」「ドイツ野郎に死を」という言葉が挟まれている。つまりこの作品は戦争のプロパガンダである。マリネッティらは、ソレルの「暴力論」に影響されて、端的な破壊である戦争をも未来のために美化するようになる。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。