1904~5年にかけてマックス・ウェーバーの有名な「プロティスタンティズムの倫理と資本主義の精神」が発表された。この本を一言でいえば、オランダ、イギリス、アメリカのようなカルヴィニズムの影響が強い国では資本主義が発達し、スペインやイタリアでは遅れたということである。
マルクスは、宗教改革を資本主義革命の第一段階と位置付けている。実際の歴史を見るとこんなに単純には割り切れない。カルヴィニズムの本場オランダは19世紀には衰退しているし、イギリスのカルヴィニズムは弾圧されてそれがアメリカに行った。資本主義の発達しているフランスはカトリックである。
ウェーバーはカルヴィニズムは禁欲主義というが、黄金時代のオランダは贅沢三昧の国であり、まだルター派ドイツのほうが禁欲主義的である。中世初期の修道院全盛のカトリックも禁欲主義である。確かに初期アメリカはカルヴィニズムのもと禁欲主義だtった。しかしそれは開拓農民の世界で資本主義ではない。
富を得ることが悪ではなく、善だと言ったのはプロテスタンティズムであり、確かにこれは資本主義を導き、アメリカではさらに富を得るのは神の御心だと変わり、社会的進化論となった。ウェーバーの説は、思想や宗教の経済に与える役割を注目させたがそれだけではないのは明らかである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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