聖王の御世1-皇帝Vs聖人会パルマの敗北

ルイ9世が留守の間、教皇インノケンティウス4世と皇帝フリードリヒ2世ことフェデリコが相変わらず死闘をくりひろげていた。戦闘は皇帝の勝利だったが、皇帝廃位は、各所で皇帝へ反乱を誘発するのである。そしてその手足となったのが、聖フランチェスコのつくった在俗第三会だった。

フランチェスコ会は教皇直属であり、聖人にならい忠誠心が大きい。また彼らは聖職者でないので捕えどころのない北伊のゲリラ組織となった。その一人ヴィルテルボの聖女ローザは、聖母マリアのお告げを受け、強力な説教ができるようになり、フェデリコの死を予言した。

ルイがエジプトに行く直前の1248年2月、その前年に叛旗を翻したパルマを皇帝軍が包囲していた。近くにヴィットリアという拠点をつくり、蟻一匹通さぬ包囲だった。しかしある日フェデリコは大好きなタカ狩りに出かけた。パルマ長官ジルベルトはこの隙を逃さなかった。

ジルベルトは、まず兵士をヴィットリアに近付けて逃げ、残った守備兵を陽動した。そして手薄になった要塞に、なんと町住民総出で襲いかかったのである。ヴィットリアは火が点けられて要塞は灰燼となり、玉座や帝冠まで奪い去られた。この敗北は、フェデリコの権威を完全に奪ってしまった。

下はパルマの戦い

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。