第7回十字軍9-ルイ9世敗北と枷鎖で捕虜

マンスーラ砦に向かった先発隊は、待ち構えていたイスラムに壊滅させられた。この時に活躍したのが誰あろうすぐ後にマルムーク朝を開くバイバルスである。この結果は伝書鳩ですぐカイロに伝えられ、伝書鳩のない十字軍本隊が追いついたとき、ルイは「弟はどこじゃ」と聞いたとき「天国におわします」と答えたという。

王は「すべて神の御心じゃ」と言い、軍団を整えた。王は虐殺をするなと命令を出していたが、弟のやった虐殺はこのときには知らなかった。そしてカイロではスルタン、アル・サリが崩御し、軍の実権はマルムークが握ったのである。

十字軍に疫病という新たな敵が襲いかかった。地元兵には免疫バッチリ。ルイも病に冒され、マルムークに囲まれ降伏し、鉄の鎖に繋がれてマンスーラ砦に入れられた。改宗しない兵は殺され、王も拷問にかけると脅されたが屈しなかったため、治療が受けれたという。結局40万ルーブルの身代金でダミエッタに居る軍の安全保障と10年間の休戦で合意した、ところが。

なんとイスラム内でマルムークの反乱!バイバルスが新スルタンを討ち、その首を持ってルイに「敵を討ってやったからな」と言った。バイバルスは前のスルタンの奴隷(マルムーク)出身の妃を女スルタンとして、マルムーク朝を開いたのであった。危機一髪を逃れたルイはその後解放。「弟は死んだなぜだ!」「坊やだからさ」と神が答えたという事実はない、しかし王は敗戦責任は虐殺をやった自分達の罪だと思った。

下はギュスターヴ・ドレ作「鎖に繋がれた聖王ルイ」

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。