ロシアでも対日強硬派が台頭していた。1903年強硬派のアレクセーエフ将軍が新設の極東総督に任じられ、全権を握ることとなった。そしてロシア全権大使ベゾブラーゾフが独立した韓国に対して非公式な手段での権益拡大を提案する。とれは鴨緑江での森林伐採事業だった。1903年4月よりロシアは森林伐採を名目として龍岩浦で土地買収を行う。
しかしロシアはここに要塞を建設し、ポートニコライという港もつくり、7月30日韓国と龍岩浦租借条約を締結した。これは明らかにロシアの独占的な権益獲得であり、日本は企業ではなく国が出てくるのは協定に違反していると抗議した。
そして妙なヨイショをしていたのがドイツ皇帝ウィルヘルム2世である。露独皇帝はヴィクトリア女王を介して従兄弟であり、ニッキーヴィリーと呼び合う関係である。独皇帝は早くから「アジアに文化を扶植し、モンゴル人と仏教の侵入に対して十字架とヨーロッパキリスト教文化を擁護する、というロシアの偉大な任務」を露皇帝に説きドイツが後ろを守るとまで手紙で書いている。
ドイツとしては、露仏同盟を切り離し、ロシアがバルカンから関心を遠ざけ、北アジアに関心を向けてくれればありがたかったのだ。ニコライ2世は訪日したこともあるが、そのとき津田三蔵に切り付けられた大津事件があり、日本は野蛮な国と思っていた。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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