ベルエポック67-フェイクから米西戦争

1898年、フロンティアが消滅したアメリカでは新しい冒険に飢えていた。そんなとき老帝国スペインは西インド諸島での反乱に手をやいていた。キューバでは反乱軍が島の半分を支配して、スペイン軍司令官は容赦なく村人を処刑していた。97年にはアメリカの新聞に「アメリカ婦人を裸にするスペイン警察」という捏造記事が載って、世論は激高した。

98年2月15日、ハバナ湾で新造艦メイン号が爆沈するという事件が起き、200名余りが死亡した。スペイン側の調査では、石炭の自然発火とされたが、アメリカ世論は無視。アメリカ海軍審判所では機雷が原因とされた。新聞は「リメンバーメイン」と書き立てた。地名を変えれば何でも当てはまる便利な用語である。

4月11日、マッキンリー大統領は世論に押され、内戦を終結させる目的としてアメリカ軍をキューバに送る法案を議会へ送り、議会は「キューバの自由と独立を求める宣言を採択した。スペインはアメリカとの外交関係を停止し、アメリカはスペインに宣戦、事はキューバだけではなくなった。

実はアメリカには香港にアジア艦隊を持っていた、開戦間近と知るや勇んで開戦準備を行い、開戦と同時に出港して4月30日にマニラ近海に達した。スペインはマニラ湾に機雷を敷設したが、かつて威容を誇った艦隊はボロボロ、沿岸の大砲も射程が短く届かない。勝敗は見えている。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。