ベルエポック64-メイドインジャーマニー

1896年E・Eウィリアムズの「メイドインジャーマニー」というパンフレットがイギリスでベストセラーとなった。諸君まわりを見渡してみよ、と著者は言う。ご婦人の衣服の何着かはドイツ製で、鉛筆から玩具や家具、暖炉の火かき棒にいたるまでドイツ製だ、ついでに新聞の紙もドイツ製と扇動する。

さらに面白いのは、ご主人ご婦人が見るオペラもドイツ製、指揮者も歌手もオーケストラも、楽器も幕までドイツ製だ、という。そしてイギリスが世界に門戸を開いている間に、自分達は保護関税を使い、その関税を補助金にして産業を発展させてイギリスの市場に参入した。

まるで今日のアメリカと中国のようだが、同じことを19世紀末のイギリスが言っていたのである。そしてマスコミが煽っていくのも今日と同じ。1903年「砂の謎」というスパイ小説が出たが、これはドイツのスパイがイギリスに侵入しているという内容だった。

さらに1906年になると「1910年の侵入」という小説が注目される、これは社会主義者が平和デモを行っている最中にドイツがイギリスに侵入するという露骨な小説だった。今日でも2022年に上映された「トップガンマーヴェリック」は、第五世代戦闘機を持ったならず者国家と戦う映画である。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。