1223年、総長を辞したフランチェスコは、以前のように少人数で旅をするようになった。その中で彼は主の降誕を再現しようと思いつく。クリスマスにあるキリストの降誕シーンのジオラマから絵画や映画の元祖が彼である。それは彼に寄進されたグレッツィオの洞窟の中で行われた。
その洞窟を馬小屋にして、かいば桶も置き、地元の皆を呼んできて、一緒に主の降誕をお祝いしたのである。そして見よ!集まった皆の眼には、かいば桶に赤ちゃんが眠っていて、フランチェスコがいとおしげに抱き上げるのが見えたという。これは奇跡と言っても集団催眠と言ってもいい。
しかしフランチェスコはまだ自分に満足していない。自分達は貧しい生活をして褒められるのに、本当の貧者達はまるで褒められたりしない。「我々は恥ずかしい!」と口にするようになり、会の修道院に「憐れな貧者です」と言って入って、施された食物を床で食べることもあった。
翌24年、フランチェスコは、寄進されたラ・ヴェルナ山に登った。8月15日の聖母被昇天を祝ってから、彼は一人谷の向こうに行った、古くからの兄弟レオーネだけが行くことができ、9月のある夜小屋に居ないので探すと、「主よ、あなたは何でしょう、役立たずの虫けらの僕の私は何でしょう」という師の声がきこえた。
下はフランチェスコがクリスマスを祝ったグレッツイオの洞窟
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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