近代思想20-フロンティア消滅

1890年、アメリカ国勢調査報告書に「フロンティアが無くなった」と記載された。これが「フロンティア消滅」であり、大きな話題をい引き起こした。フロンティアとは未開拓地のことで、それを求めて人々は西へ移動した。開拓地に行けば農場が手に入り、金鉱が出ればゴールドラッシュが起きた。

つまりフロンティアとは今日でいえばアメリカンドリームである。アメリカ人の夢が無くなったというに等しい。そして93年歴史家のフレデリック・ターナーは、アメリカ人の個性が開拓によって形成された、という「フロンティア学説」を発表したのである。

開拓が進むにつれ国内消費が増え、アメリカはイギリスから経済的に独立した。そして移民達は開拓地の中で混ざり合い、アメリカ人となった。また開拓地を得ることによって個人所有が生まれ、アメリカの民主主義が生まれたというのである。これはアメリカ人の個性をうまく言い表している。

そして、インディアンという野蛮を撲滅することは、社会進化の道であったというのである。この理論では征服が進歩として肯定され聖化されている。この後国内フロンティアが消滅したアメリカは、世界に向って歩をすすめていく。これも文明進化とか民主主義の拡大とかで今日でも肯定されていくのである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。