ロマン派以後2-現実主義のオペラ登場

1890年、ヴェリズモオペラの代表作「カヴァレリア・ルスティカーナ」が上演された。ヴェリズモとは人々の現実を描く芸術的潮流で、80年代のイタリアで勃興した。背景には、イタリア統一は成ったものの北部ブルジョア中心であり、南部の社会的矛盾の激しさがあった。

現実といえばウィーンで流行したオペレッタもそうである。ワグナーやヴェルディのロマン派の壮大かつ長いフィクションの世界に飽きたのだ。ちょうど映画のスターウォーズやロードオブザリングのファンタジーの世界が飽きられたのに似ているかもしれない。ヴェリズモはたいてい一幕ものだ。

カヴァレリア・ルスティカーナはシチリアで起きた事件を基にしている。ヒロインには恋人がいるが、その彼はモトカノとよりを戻した。実はモトカノはカレシが戦争に行った間に結婚していた。ヒロインは怒って、モトカノの夫に告げ口をして、夫とカレシは決闘してカレシが殺される。

なんとまあこの日は復活祭、ヒロインは結婚前に関係を持ったので村八分にされてミサに入れない。浮気しているモトカノは入っちゃう。カレシが行った戦争とはもちろんイタリア統一戦争。イタリアが統一されたのに以前より殺伐としてしまったイタリア南部を描いたのである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。