ベルエポック53-新皇帝ビスマルクを更迭

1888年3月9日、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世が崩御した。皇太子が即位したが同年6月15日続いて崩御、そこで皇位は一世代とばしで29歳でヴィルヘルム2世が即位した。プロイセン及びドイツは皇帝の権力が強く、ビスマルクは議会と対立しても皇帝の庇護のもとに自分の権力を奮ってきた。

若いヴィルヘルム2世は、自分の思う政治をやる意欲満々であった、ビスマルクと衝突するのは目に見えていた。89年5月、ルール地方の炭鉱夫のストが引き金になり、全国に波及した。ビスマルクはこれを放置し、期限切れが迫っていた社会主義者鎮圧法の更新のために利用しようとした。

しかし新皇帝は、閣議に乗り込んで経営者側を非難し、3人の鉱夫代表を謁見して陳情をきいた。そして経営者側に賃上げを強く求めたのである。そして90年2月には日曜労働禁止、女性児童の夜間労働禁止、地下労働禁止の「二月勅令」を出して、労働者保護政策を自ら打ち出す。

2月の帝国議会では、ビスマルクを支えてきた保守党、帝国党、国民自由党のカルテット3党が敗北。ビスマルクは社会主義者鎮圧法の無期限延長を議会クーデターを起こしてでも実施しようと画策したが、皇帝はそれを許さず、3月18日に辞任させた、ビスマルク体制はここに終わりを告げたのである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。