不況があり、貧民があふれ、暴動と犯罪が多発する、こうした世相でさっそうと現れたのがシャーロック・ホームスである。1829年首都警察つまりスコットランドヤードができるが、犯罪の多さにとうてい追いつけなかった。とりわけ「切り裂きジャック事件」はロンドン子の失望を呼んだ。
シャーロック・ホームスがデビューしたのは、実は「切り裂きジャック」の前年の87年で、処女作「緋色の研究」はあまり売れなかった。ところは事件後の第2作「4つの署名」でヒットを飛ばすのである。警察で解決できない事件を知識と推理で解決するホームスは、ロンドンのヒーローになった。
ホームズは「探偵」ということだが、今に至るもイギリスで探偵の免許はない。探偵社が設立されたのは実はフランスである。アメリカでは1850年にピンカートンがシカゴ探偵社を設立して、リンカーン暗殺を防止したことで評判になった。しかし仕事は軍の依頼のボディガードや、企業から労働者の監視を請け負っていたらしい。
シャーロック・ホームスは、誰もが知りたいロンドンや大英帝国に潜む「闇」を描き、それを社会的に解析することで、今日までつながる推理小説のモデルをつくったといえる。現代日本では毎日TVで殺人事件が起こっている。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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