1882年、ワグナーの楽劇「パルジファル」が初演された。彼はこれを「舞台神聖祝祭劇」と呼んでおり、聖杯伝説が基になっている。「真の」キリスト教による世界救済が真っ向からのテーマであり、悪役としてのイスラムや放浪して誘惑する存在としてユダヤ教女性まで登場する。
バイエルン王ルートヴィヒ2世の要望と資金で進められたが、なんとワグナーは指揮者をユダヤ人にしたくない、とこだわり、王に「人間は宗教が違っても皆心の底では兄弟です」と諫められている。ワグナーは金を稼ぐためにアメリカへ行くと言い出し、王は彼の楽劇の上演権をワグナーに返す代わりに、バイロイトのみで上演することを約束させた。
この初演の前に、ワグナーはミュンヘンで演奏会を行った。資金提供者の王は、序曲を2回とかローエングリンも聴きたいとかワガママを言ってワグナーは途中で指揮を別の人に代わってもらった。パルジファル初演には王は来なかった。
その後、ヴェネツィアに旅行したワグナーは、83年2月13日に逝去する。死の一報をきくや王は「一人にしてくれ!」と言い、その数時間後「ワグナーの遺体は私のものだ。私の指示なしに動かしてはならない」と命令した。そして棺はミュンヘンに運ばれ、バイロイトの自宅に埋葬された。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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