近代と信仰17-神の死とカルト

ひさしぶりにここは天界。「ヨハネちゃーん、いよいよ私達のヒミツが見つかるのよ」「な、何ですかマリア母さん」「私達の愛の家が発見されるの」「愛って私は母様の介護させられてただけですが」「そーよエンメリックちゃんに見せたあの家をホンキで見つける人が出てきたの」「はー物好きな」

19世紀初めの幻視者カタリナ・エンメリックは、イエスの受刑や聖家族、聖母の晩年を幻視し、詩人ブレンターノがそれを筆記した。これに注目した神父がエフェソスの山の中へ行ったところ、なんとその記述にぴったりの家と教会跡を発見したのである、この家は古くから知られていたが忘れられたようだ。

神の死とはいいながら、キリスト教の権威が下がるとかえって世俗的な神秘主義が広がった。ビクトリア朝のイギリスでは心霊術のブームが起こり、心霊術の実験やイベントが大ブームとなった。神は死んだといいながら人間は死後の世界がどうなるのかを探求したくなったのである。

リアルなエンメリックの幻視は聖書をリアルにし、巡礼までもが旅行ブームで復活した。マルクスは宗教は死滅すると予言したが、かえって無根拠な神秘主義やカルトが広がることになった。エンメリックは2004年に列福され、その幻視は映画「パッション」になった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。