第4回十字軍22-アルビジョワ十字軍開始

「坊主一人死んだくらい何だってんだ」一度は不倫で破門の経験もある仏王フィリップ2世は動かない。ところが世間、動くヤツが出てくる。レスター伯シモン・ド・モンフォール、信仰厚く、ビザンティン攻めを放棄した義の男、領土野心と宗教情熱が同居していたのは第一回十字軍の野郎共と酷似している。

そういう者が音頭を取ると、我も我もと野心にかられて1万人がリヨンに集まった。それを見てカタリ派を庇護した大領主レーモン6世も降伏して、この十字軍に加わったのである。1209年7月21日、ベジェを包囲した十字軍に小部隊が迂闊にも挑発したのをきっかけに、軍は城内に突入し、市民1万人を虐殺した。

これを見てナルボンヌは降伏、カルカソンヌは水を絶たれて降伏し、市民全員が女子供もほどんど裸で追放された。その後も十字軍は快進撃したが、トゥールーズに戻ったレーモンは異端者は自ら裁判にかけると十字軍と対立。ホンネはレーモンの領地が欲しかった軍は聞き入れず、彼を破門した。

1211年6月16日、トゥールーズ包囲が始まったが、さすがにこの城壁はちょっとやそっとで攻略できない。27日には城外への突撃を受け、包囲は失敗。これを機に戦争は泥沼化する。人間の野心の罪深さを知らない教皇インノケンティウス3世は、まだもや戦争がここまで拡大するとは思いも及ばずやらかしたのだ。

下はカルカソンヌから裸で追放された市民

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。