第4回十字軍21-奇跡の平和は消え戦争へ

ドミニコ達は教皇インノケンティウスに知らせを送ると、おおいに喜び「服は質素に心は燃えて」とキャッチをつくって、このやりかたを広めるように指示をした。1207年春、モンレアルで大討論会が企画された。ドミニコがゆく先々で回心させていくのを恐れたカタリ派が、総力をあげて負かそうとしてきた。

この討論会では有名な奇跡が起きたとされる。双方の文書を火にかけて神明裁判をしたところ、カタリ派の文書は燃えてしまったが、ドミニコの文書は3回も火をつけたのにまるで燃えなかった。いずれにせよ、この討論では数十人もの人が正統派に回心した。

勢いづいた特使は12名の説教者を連れてきて、グループに分けて説教にまわった。しかし彼らは何の役にも立たず、数週間もすれば、帰ってしまった。教皇の指示も、お偉方にはほとんどわからなかった。そしてオスマ司教ディエゴは、資金調達にオスマに帰国してそこで亡くなった。

何と残ったのはドミニコと、プルイユに居る修道女数人だけだった。そしてさらに悪いことが起きた。トゥールーズ伯レーモン6世が破門され、08年1月特使の1人ピエールが暗殺される事件が起こった。特使アルノーはレーモン伯を破門の恨みとして告発し、十字軍を主張した。能力のないヤツほど力に頼るのだ。

下はカタリ派との討論会の奇跡

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。