ベルエポック27-第二帝政のナナ

1879年、エミール・ゾラの小説「ナナ」が出版された。ゾラはフランス第二帝政の社会を描くにあたって、架空の女優兼娼婦に代表させたのである。もちろんナナは実在の女優兼高級娼婦だったコーラ・パールをモデルにしている。コーラは、実際に一晩で5000フランを稼ぎ、次々に男を手玉に取った。

ナナは女優だが、たいして美人でもなく、ちっとも歌も演技もできない。ただボリュームのあるバディがあった。初舞台では上品な客からブーイングがきそうになるが、若い男が「ナイス!」と声をかけたことから次第に観客はナナのバディランゲージに気づき、最後は夢中になってしまうのだ。

つまりナナは、大衆が自己催眠によってつくったのである。待て待てそれってナポレオン三世でしょ。ナポレオン3世も、大統領から皇帝にまで駆け上がったが、そのときさして有名でも実績があったわけでも、選挙運動したわけでもない、ただナポレオンという名に期待しただけだ。

ナナは男に次々と貢がせて破滅させるが、自分がやったわけではない、ただ世の中を泳ぎまわっているだけで、金は全部使ってしまう。皇帝もカトリックシンパだったわけでもなく、労働者の味方だったわけではない、ただ時流に乗っただけだ。ナナは最後は失踪して忘れられて死ぬが、まさしく皇帝も亡命後は忘れられた。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。