フランスバレエと言えばドガの絵をはずすことはできない。代表作というべき「エトワール」は、ちょうど同じ1878年に描かれた。華やかな舞台を描いた作品だが、舞台袖に黒服の男が居る、実は彼はこのバレリーナのパトロンなのである。まあ今でもダンサーとして食っていくには大変だから驚くにあたらない。
実はオペラ座は1831年から民営化されていた。そして年間定期券を買った者は特典として、ダンサーのウォーミングアップエリアに入ることが許された。そこで彼らは、キャバクラの客のように女性の品定めをしたのである。ドガも銀行家の息子であり、ここに立ち入りができた。
ロマンチックバレエは、妖精のような女性を演じることだった。あのつま先立ち「ポアント」も、宙に浮いた女性を表現するためにできた技術である。しかし19世紀後半ロマン主義から写実主義の時代となり、ロマンチックな女性は「シラケ」を呼び、ストリップまがいものもの現れ、廃れていく。
ドガの絵が売れたのは実はアメリカである。新興国成金アメリカ人は、ドガの絵を買って自宅に飾ることで、まだ見ぬ文化国家優雅なおフランスにあこがれたのである。そしてフランスバレエは、20世紀にロシアからディアギレフのバレエ団が逆輸入されて再活性化してゆく。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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