近代思想18-近代への反駁エントロピー法則

1872年、物理学者ボルツマンが「エントロピー増大の法則」を証明した。エントロピーとは無秩序の度合いであり、混ざり合っていくほど高くなる。夏でも戸をあければクーラーで冷やされた空気は暑い大気と混ざり合って平衡状態となる、そういうことを指す。

ところがヘーゲルから始まる近代哲学にとってはやっかいなことだ、なぜなら弁証法は、単純なものから複雑なものになっていくという理論だからだ。生物でそう考えたのはダーウィンで、歴史社会でそう考えたのがマルクスである。しかし彼らは地球という特殊な条件で当てはまることを考えていなかった。

近代社会がどんどん発展していったのは産業革命の蒸気というエネルギーの力である。しかしそれは石炭という複雑な有機物を単純な二酸化炭素と水にするということでエントロピーを増大させているのに気が付かなかった。今日では、化石燃料の大量使用は、大気中の二酸化炭素を増加させ、温暖化を引き起こすことがわかっている。

地球は奇跡の惑星だと今日では言われている。適度な太陽エネルギーと適度な重力による大気の形成、そして隕石がもたらしたかもしれない水が生物を可能にした。生物が進化するとその条件ともなる環境を破壊するのもエントロピーの法則だろうか?。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。