ベルエポック7-「金ピカ(金メッキ)時代」

1873年アメリカの作家マーク・トェインは「金ピカ(金メッキ)時代」という小説を共著で出版した。この小説は田舎オヤジが土地成金をめざして大土地を買うが、結局果たせず亡くなる。その夢は養女が受け継ぎ、ワシントンDCで政治家相手に土地取引をもちかけるというストーリーである。

特にワシントンDCにまではびこる拝金主義、一攫千金をめざす政治家達を風刺して、「金ピカ時代」は、小説を離れ、高度成長を謳歌するアメリカの時代の代名詞となった。半面またアメリカン・ドリームがもてはやされ、金をもつことは正義であるという社会進化論が大手を振る時代となった。

マーク・トウェインも実は一攫千金を夢見る男であり、印税を株投資につぎこんで失敗したりもする。1881年に出版した「乞食王子」は乞食が王子と入れ替わるというまさに金メッキの象徴といえる童話を書き、子供の視点を通して、金メッキ主義を風刺するのである。

そして85年の傑作「ハックベリー・フィンの冒険」では、奴隷のジムを助けて、北部へと向かう冒険を描く。ハックは良心と利害との相克に苦しむが、最終的にやはり良心を取る。この視点はまた心の奥に潜むアメリカの良心をも思い起こすものである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。