ベルエポック5-鉄鋼王カーネギー

1874年、セントルイスにミシシッピー川をまたぐイース橋が完成した。これは世界初の鋼鉄を用いたアーチ橋である。それを造ったのは後の鉄鋼王として名高いカーネギーの創業したキーストン鉄橋会社である。カーネギーは、ロックフェラーに継ぐ史上第2位の富豪である。

彼は、ペンシルバニア鉄道に務めていたとき、木造の橋が焼けて線路が不通になるのを見て、鉄橋をつくろうと思ったという逸話がある。しかし南北戦争は鉄鋼の需要を高めており、ピッツバーグは軍需産業の大拠点だった。彼はペンシルバニア鉄道と契約して、鉄橋をつくっていった。

彼は、ベッセマー法を導入して鉄鋼を安価につくり、石炭から鉱山、鉄道会社、貨物船まで鉄鋼に関するものをすべて垂直統合し、さらに鋼鉄を安価にした。89年にはアメリカの鉄鋼生産はイギリスを越えた。その後1970年代までアメリカは世界一で「鉄は国家なり」という時代だった。

カーネギーは、「富は神から託されたもの」と考え、慈善活動を行ってカーネギーホールもつくった。格差はその富を分配できるからよし、とした。いかにもアメリカの福音であり、それが現在も機能しているが、裕福なローマ市民も当時そう考えていたし、中世初期の貴族もそう考えていた。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。