1872年ヴィクトル・ユーゴーの劇「リュイ・ブラス」がオデオン座で上演された。ナポレオン3世の失脚と共にフランスに帰国していた。そこでそれを記念してユーゴーの劇を企画したのである。そのヒロインの王妃役を演じたのが後の大スターになるサラ・ベルナールである。
サラはこの劇を成功させ、ユーゴーは彼女の声を「黄金の声」と称賛した。「私はとうとう選ばれた存在になった」と思った、と彼女は自伝に書いている。そして演劇の殿堂コメディーフランセーズが、もっと高い報酬を求めるサラの要求に応えて引っこ抜く。以来彼女は国民の女神となった。
普仏戦争の敗戦とパリ・コミューンの混乱、フランス人には新しい共和主義的シンボルが必要だった。自由の象徴マリアンヌ、実はこれ以後第三共和制の時代にマリアンヌ像がフランスに造られ、ニューヨークにある自由の女神像がつくられてアメリカに運ばれるのもこの時代である。
サラは素性の知れない生まれである。そんな人間がエンターテイメント界で人々のあこがれとなる。そして新しいメディアに乗ってその人間が偶像化され、天に上り詰めていく。共和制の大衆の時代に、「スター」という存在が創られるのだ。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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