第3回十字軍13-エルサレム回復ならず

リチャードとサラディンの交渉がスタートした。リチャードの要求はエルサレム及び真の十字架の引き渡し、またヨルダン川以西の領土、かなりムシの良すぎる要求だが、最初はこんなもんだ、当然サラディンは拒否。するとリチャードは自分の妹とサラディンの弟との結婚を提案した。弟のほうは結構乗り気だったようだ。リチャードの妹はNo!

もちろん彼らも交渉だけでまとまるとは思っていない。リチャードは脅迫にさらにエルサレム近くに軍をすすめるし、サラディンはその背後を狙って再度ヤッファを攻略しようとする。しかし双方とも名将であるだけに、決定打を打てなかった。リチャードは実は船に弱く、船酔いの中を必死にヤッファに戻り、すんでのところで防衛できたとのことだ。

まあ交渉は、初めからリチャードの不利であった。本国の状況はますます悪くなるわ、テンプル騎士団など現地勢力が、さっさとエルサレムを攻めろと言ってくるわ、リチャードもヤル気をなくし、結局現状維持で平和条約を締結、エルサレムについてはキリスト教徒の巡礼と信教の自由を許可してもらうだけは承認された。

真の十字架については、偶像崇拝を禁じたイスラム兵が、サラディンの許可もないままに、どうも破壊しちゃったようで、このことはお互い不問に付した。リチャードはエルサレムへ訪問はしなかったが、大司教が名代で参り、聖墳墓教会で丁重なミサを捧げたとのことである。

下は危機一髪でヤッファに到着したリチャード右下に青池保子作船酔いリチャード付

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。