第3回十字軍14-獅子心王欧州で逮捕

サラディンは講和会議で、リチャード王の評価を求められて「偉大な王だが、少し無謀なところがある」と言ったそうだ。まあ横で見る分には面白いのだが。ともかくリチャードは1192年11月に出発した、フィリップ2世に唆された弟ジョンが、領土を自分のものにするため動いていたからだ。しかし彼は船に弱い上に嵐にあい、ギリシャのコルフ島に漂着しちゃう。

そこで海賊に遭遇するが、さすがライオンハートは少しも騒がず、チャンスと思い、金で海賊の船に乗せてもらった。目立たぬよう服も替えた。そして到着したのが神聖ローマ帝国オーストリア公レオポルドの領土。レオポルドは、フリードリヒ1世崩御後帝国軍の指揮を執った将軍。お仲間と思いきや、彼は、エルサレム王コンラートの従兄弟で、その殺害をリチャードの策謀と思っていた。ついでにアッコ一番乗りに立てた旗を英国旗に替えられたこともネにもっていた。

そんなこた知らぬリチャード、ウィーンまで行って居酒屋で騒いでるところを、入ってきた兵士が十字軍帰りでリチャードの風体を知っており、捕えて公のところへ引っ立てていった。公は「ぶちこんどけ!」とばかり、どこかの城に幽閉してしまった。彼はそのあと2年間もそこで過ごすこととなる。

フランスでは「チャーンス!」とばかり、フィリップ2世が公然と動き出し、今度は弟ジョンとタッグを組んで、ノルマンディー他の領地を制圧してまわる。ジョンはイングランドでも、リチャードの生死不明ということで王位を狙って動きだした。いやはや油断も隙もねえもんだ。

下は幽閉されたリチャード1世

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。