帝国の時代60-ダイナマイトとノーベル賞

1871年、アルフレッド・ノーベルがダイナマイトを開発した。当時ニトログリセリンは不安定で、彼も64年に爆発事故を起こし、弟以下5人の助手を亡くし、自身もケガを負った。ノーベルは木炭や石炭などさまざまなものを試したが、珪藻土にニトログリセリンを浸み込ませて安定化した。

ダイナマイトは世界中の土木現場や鉱山で使われ、15の工場を持ち、世界の富豪の仲間入りを果たした。さらにバクー油田の開発をする会社をつくり、この油田によって巨万の富を築いた。ノーベルはセリグナイトという爆薬も発明し、まさに爆薬に捧げた一生だった。

しかしダイナマイトはさっそく普仏戦争でプロイセン軍に使われるようになり、その後多くの戦争に使われた。ノーベル自身は、強力な爆弾があったほうがよりスピーディに戦争が終わり、恐怖の均衡で戦争が無くなるという考えだった。この考えは今なお継続しているといえる。

88年兄が亡くなったのを間違え、新聞は「死の商人死す」と見出しを書いた。そこでノーベルは人類の知識の発展に寄与した功績に対してノーベル賞を遺言した、彼が考えていたのは科学だった。今では文学、経済学、平和にも拡張されている。しかし原爆をつくったフェルミもノーベル賞を受賞している。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。