帝国の時代27-デンマーク戦争に勝利

議会を無視して孤立していたプロイセン首相ビスマルクに願ってもないチャンスがやってきた。ユトレヒト半島南端で国境を接するシュレースヴィヒ=ホルシュタイン問題の勃発である。特にホルシュタイン公国ではドイツ人が多く、1848年に反乱が起こり、普丁の戦争になったが、ロンドン議定書で中立が決まった。

しかし63年、デンマークは「11月憲法」で、両公国の併合を決めたのだ。ビスマルクは、これをロンドン議定書違反と非難し、武力行使も辞さずとの姿勢を見せる。そしてドイツ連邦の盟主を自称するオーストリアも引き込み、ドイツ連邦議会で決議し、欧州列強の中立化も得た。

翌64年1月デンマークが併合を取り下げず、2月普墺両軍はシュレースヴィヒに進攻した。デンマークが頼るスウェーデンは軍派遣を取りやめ、デュペル堡塁を普墺軍が占領、6月末にはアルス島を占領して、戦況を有利にして、デンマークも講和せざるを得ない立場になった。

8月1日、ウィーンで講和会議が開かれ、シュレースヴィヒはプロイセン、ホルシュタインをオーストリアが取り、ザクセン=ラウエンブルクは金銭を支払ってプロイセンが取った。ビスマルクは後年「最も誇りに感じる外交戦」と呼んだ通り、ビスマルクの鉄血政策が国策となった戦争勝利だった。

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。