ロマン派以後13-フィンランディア

1900年7月2日、シベリウスの有名な「フィンランディア」がヘルシンキで初演された。フィンランドはロシアとスウェーデンという2つの大国に挟まれて領土もいったりきたりだったが、1809年よりフィンランド大公国として、ロシアの従属国でありながら独自の政府と議会を持つ国となっていた。

しかしヨーロッパの民族主義の高まりはフィンランドにも影響を及ぼし、1899年総督ボブリコフはフィンランド自治を取り消し、国民は50万人の署名を集め、ニコライ2世に自治復活を嘆願するが、皇帝はこの代表団に会うのを拒否して、翌年より公用語がロシア語となり、学校教育でも徹底される。

99年11月「報道の記念日」に6幕もののフィンランド史劇が上演された。シベリウスはこの音楽を作曲して指揮した。そして再終幕の「フィンランドは目覚める」を独立させて、拡張して交響詩としたこれがフィンランド愛国詩「フィンランディア」となったのだ。

もちろんこの曲は帝政ロシアから演奏禁止になったのはいうまでもない。しかし1900年のパリ万博ではちゃんと演奏されたのだ。シベリウスは交響詩「カレワラ」や「トゥオネラの白鳥」などフィンランドの自然や歴史、伝統に基づく音楽をつくり、国民的音楽家として尊敬されている。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。