帝国の時代51-大陸横断鉄道

1869年5月10日、北米大陸を横断する「大陸横断鉄道」が開通した。この鉄道はリンカーン大統領のもとで立案された。当時は南北戦争が始まり、アメリカの分断が深まるなかで、統一されたアメリカの夢を見せるために始められたのだ。そして東西2つの会社が設立され、東と西から建設は進められた。

この建設には、南北戦争の退役軍人やアイルランド移民、さらには中国人苦力が動員された。ここでアイルランド労働者が歌ったのが「線路は続くよどこまでも」という歌である。日本語のほのぼのとした歌詞とは違い、「朝から晩まで線路工事で働いている」という労働歌なのだ。

さらにまたもや先住民の迫害が起こった。先住民は、グラント大統領が推進する居留地政策で、強制的に移住させられていたが、それを横断する形で建設がすすめられ、先住民は狩場を失い、鉄道建設労働者を襲撃した。さらに建設に邪魔なバッファローが殺され、先住民は飢餓状態となった。

またこの鉄道建設は汚職の温床となった。鉄道建設を請け負うクレディ・モヴィリエ・オブ・アメリカは、工事代金を倍に水増しして大儲けした。その代わりに株券を市価の半額で大統領他有力議員に渡していた。1872年にニューヨーク「サン」紙がこの問題をスッパ抜くと大事件となった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。