1869年、一人のユダヤ人マーカス・ゴールドマンがニューヨークに店を開いた。彼は1848年革命の後ドイツから来た大量の移民の一人だった。最初はフィラデルフィアで仕立て業を営んだ。ニューヨークで始めたのは手形の割引業だった。当時銀行の力が強く、小さい商人はなかなか融資を受けられなかった。
そこでゴールドマンは、これらの商人の手形を8%ほど割り引いて買い取り、わずかな手数料を乗せてすぐ銀行に再販した。銀行にはゴールドマンの情報の確かさを説得したという。こうしてわずかだがリスクのない商売をして順調に業績を伸ばし、82年には5万ドルの利益を稼いだ。
85年、これもドイツから来たユダヤ人で娘婿のサミュエル・サックスをパートナーにして「ゴールドマン・サックス」に改名、90年にはアメリカ最大のコマーシャルペーパー業者に成長した。彼らはニューヨーク証券取引所におちつき、金融街として拡大してゆく。
ヨーロッパでは伝統的な反ユダヤ主義が染みついて、いつもスケープゴードにされた。ところがアメリカには根強い反ユダヤ主義はない。そして金融業が蔑視されることもなく金がすべてだった。ユダヤ人はアメリカに定着し、ヨーロッパで反ユダヤ主義が起こるたびにますますアメリカにやってくる。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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