1869年紅海と地中海を結ぶスエズ運河が開通した。この運河建設を主導したのはフランスである。フランスのレセップスが、株式会社をつくり、主にフランスとエジプトが出資した。イギリスは、インドの貿易独占がこの運河で危うくなるのではないかと反対し、出資者は集まらなかった。
しかし工事は難航し、各国から延べ150万人が集められて、それでも10年かかった。総建設費は予算の2倍となり、当初2年間は利用船数は予想を下回った。運河は赤字でエジプト財政を圧迫し、方針を転換したイギリスに売り払われることになる、実際運河利用の8割は英国船だった。
エジプトは、カイロにオペラ劇場を建設し、その祝賀として依頼されたのがヴェルディの有名なオペラ「アイーダ」である。そのストーリーは、古代エジプトを舞台に、戦争に負けて奴隷となっていたエチオピア姫とエジプト将軍ラダメス、そして恋敵のエジプトの姫アムネリスをめぐる国家間のスケールの大きいグランドオペラである。
オペラは1871年に完成するが、制作期間は普仏戦争の真っ最中だった。このオペラは図らずも、帝国主義の幕開けの時代にその悲劇を予想したともいえる。エジプトは1882年にイギリスの保護国となった。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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