帝国の時代43-仏皇帝が捕虜に

病状が悪化して疲労困憊の仏皇帝ナポレオン3世は、パリに撤退して防衛をしようと考えていた。しかしそれを知った皇后ウージェーヌは、もし敗北したままパリに戻ると暴動が起こって帝政が崩壊しかねない、と告げた。なんと皇帝は仕方なく攻撃に移ることにしたが、総司令官の姿は士気を下げるだけだった。

セダンへの進撃は、フランスの報道でモロトケの知るところとなり、普軍をこれに先回りして急襲させた。仏軍はセダン要塞に入ったが、普軍はこれを包囲し、クルップ砲を打ちまくった。将軍は全軍に突撃を命じて皇帝にその先頭に立つよう懇願したが、皇帝は何万もの兵を殺す権利は私にないと言った。

程なくセダン要塞に降伏の白旗が上がり、普王ヴィルヘルム1世は、ナポレオン3世がそこに居たことを初めて知ったという。そして降伏したナポレオン3世をヴィルヘルムスヘーエ城に捕虜としたが、行動は比較的自由にさせた。皇帝捕虜は1870年9月3日にはフランス中を駆け巡る。

皇后は「何で死ななかったのよあの人は!」と叫んだという。翌4日にはパリ軍事総督ルイ・ジュール・トロシュを首班とする国防政府がクーデターで成立した。9月6日、ビスマルクは国防政府と休戦協定を結ぶ交渉を行ったが、アルザス=ロレーヌ地方の割譲が入っていた。国防政府はそれに反発して戦争を継続する。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。