アメリカという国は、最初から神の理想を実現するために造られた国である。独立宣言にはすべての人が平等に造られている、と書かれている。リンカーンはゲティスバーグ演説で、この理想は試練を受けている、と言った。そして今生きている者がこの未完の事業に身を捧げることが、戦没者に報いる道だと言うのだ。
ここに今日までアメリカを貫く精神が現れている、つまり平等と自由という神の理想を貫くには生半可ではない、妨げる者と武器を交えて戦っても実現せねばならないというわけだ。実際この南北戦争では国民の18%が戦死したのである。それは神の理想のために死んだのだと聖化されるしかない。
アメリカでは軍人が尊敬されるが、その伝統は南北戦争後から始まり、復員軍人は米国陸軍軍人会を結成して共和党の支持基盤となって年金や再雇用援助を行った。愛国心が奨励され、そのシンボルとなったのが星条旗である。実は星条旗は南北戦争で普及したのである。
またアーリントン墓地も実は南北戦争戦没者のためにつくられた。さらにアメリカの重要な祝日であるメモリアルデーも北軍戦死者を弔う日として制定された。アメリカの精神を象徴する施設も南北戦争を機につくられていくのである。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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