もはや終戦は間近になった1865年1月31日、リンカーンは憲法修正第13条で奴隷解放を恒久のものとすべく提案した。この経緯を描いたのが映画「リンカーン」だが、終戦を前に南部と一緒にやることを優先して奴隷解放の気運が減っていた。一度は下院で否決され、リンカーンは交渉を重ねて可決にもっていった。
3月4日の大統領就任演説では、この戦争で国土が荒廃するのは、奴隷を使って繁栄したアメリカへの神の裁きだと述べた。その上で、「人を裁くな、汝が裁かれないために」と、聖書の言葉を引用して、南軍兵士に寛大な措置を約束し、アメリカの和解を呼び掛けた。
一方南部連合では、3月3日南軍兵士となった黒人奴隷を自由人とみなす、と決議した。この決議は奴隷制維持という南部の根幹を崩すものだった。またすでに遅く、今更南部のために戦おうという黒人奴隷などおらず、脱走して北部軍に志願する黒人が続出するだけだった。
4月3日、グラントの北軍はピーターズバーグに三度目の強襲をかけ、ついに防衛線が破られた。リーは戦線を放棄し、同時に南部政府はリッチモンドから退避を宣言した。戦線の決壊で、北軍はリッチモンドに進攻し、南軍首都は灰燼と帰した。戦争は実質終わった。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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