帝国の時代28-国際労働者連盟結成

1864年9月28日、「国際労働者連盟(第一次インターナショナル)が結成された。イギリスでは再び労働組合運動が活発になり、フランスのナポレオン3世、プロイセンのビスマルクの政策によって仏独でも労働者組織が結成された。そこでこれらの組織が中心となって国際組織が結成されたのだ。

実際国際組織は、労働団体の要求だった。欧米経済は一体化を強めており、安い賃金でつくられた製品が輸入されると、労働者の賃金の抑制に使われた。当時は欧米だけだったが、今日ではグローバリゼーションの中で、この事情は悲惨なまでに拡大されている。

この創立宣言を起草したのは、ドイツ代表のカール・マルクスだった。マルクスは当時革命に破れてイギリスに亡命して新聞の通信員をして、59年には「経済学批判」を出版していた。創立宣言は48年の「共産党宣言」を書き直したものとなり、同じ「万国の労働者よ団結せよ」と結んでいる。

宣言は、経済が発展しても労働者は貧困になるばかりだ、と経済楽観主義を批判し、経済闘争だけでなく政治権力を得る戦いを行い、各国の利害に惑わされず、他国の労働運動や解放運動を支援しなければならない、とした。しかしこの理想主義を現実のものとするのは困難だった。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。