南北戦争14-リンカーン再選最後の決戦

アトランタを壊滅させたシャーマンは、そのまま港町サバナまで、南部の壊滅作戦を続行し、綿花農園を焼き払って経済基盤を叩き潰した。南部のフッド司令官は「これまでのあらゆる暗黒面をしのぐもの」と抗議した。経済的基盤まで攻撃する戦争は20世紀の戦争に引き継がれる。

グラント率いる東部戦線では1864年6月12日からピーターズバーグ包囲戦が始まる。ここはリッチモンドに通じる物流の要で、5本の鉄道が交差していた。南軍は最後の拠点を守るべく必死の防衛で粘る。しかし北軍は、結局48kmにのぼる塹壕を掘って、司令部は、大勢の兵士が集まって街ができた。

11月8日には合衆国大統領を選ぶ選挙がある、といっても南部連合州は参加していない分裂選挙である。民主党はグラントの前の司令官マクレランを候補とし、南部との平和交渉を公約にした。それは戦線が膠着した夏まではよかったが、アトランタが陥落し、リッチモンドに軍が進攻すると人気がなくなった。

リンカーンは共和党をまとめ、「流れの中で馬を変えるな」と訴えた、戦時大統領の始まりである。南軍のリー将軍は、リンカーンのゆさぶりを狙って、ワシントンを攻撃させたが効果がなかった。さらに北軍兵士も戦地から投票を行って、リンカーンは4年前よりも票を伸ばして再選された。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。