南北戦争13-アトランタ炎上

グラントのオーバーランド作戦は、戦いを重ねながらリッチモンドに向かった。この戦いは、リー将軍を始めとして、南軍の必死の抵抗を呼び、うまくすすまなかった。実際この作戦で5万5千人の死傷者を出し、グラントは「肉屋」とあざけられた。しかし個々の戦いで勝てなくともリッチモンドめざして進軍した。

南部の農地は綿花を栽培して、大土地所有者は食料生産に転換をしぶった。おまけに働かされている奴隷は戦争に行くはずはない。南部では大インフレが進行し、徴兵も細った。北部はトウモロコシを欧州に輸出し、兵力としては黒人の志願兵がどんどん増加した。

1864年5月31日から、リッチモンドの近くでコールドハーバーの大激戦が行われた。グラントはここで南部の構築された塹壕線に大突撃を命じる。8分間で8千人が死んだという悲惨な戦いは血の池といっても言い過ぎではなかった。グラントは後に後悔したが、大統領に向かってはたいしたことはないと打電した。

北軍の救いはまた西部からやってくる。シャーマン将軍は、最小限の装備を持って、ジョージア州を電撃的に進攻した。補給は富裕者の家を襲って現地で調達する。8月31日アトランタ包囲戦が行われ、9月2日アトランタは降伏した。映画「風と共に去りぬ」のアトランタ炎上シーンにそれが描かれている。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。