南北戦争7-無条件降伏のグラント

南軍勝利で、リンカーンは北軍再編まで時間稼ぎをせざるを得ず、奴隷制のことを口に出さなくなる。批判されたとき「奴隷を一人も自由にせず連邦を救えるなら私はそうする」とまで語るのだ。実際北部にも奴隷制を維持している州があり、南部は「神よりもケンタッキー州を味方につけろ」と揶揄した。

そのケンタッキー州西部に准将がやってくる。その名こそやがて北軍に勝利をもたらすユリシーズ・グラントである。彼は河川を使った水陸両面作戦を考案する。ちょうど北軍は、「アナコンダ作戦」という南部海岸からミシシッピー川までの長大すぎる海河封鎖計画をつくっていた。

1862年2月6日、ケンタッキー州のすぐ南のテネシー州、テネシー川沿いのヘンリー要塞に攻撃をかけた。なんとヘンリー砦は、陸軍の進軍を待たず、艦船砲撃だけであっさり降伏した。続いて北軍はその東のカンバーランド川流域のドネルトン要塞に攻撃をかける。

この要塞は堅固で、要塞からの砲撃で艦船は後退を余儀なくされた。南軍は北軍の包囲を突破しようと試みて激戦になるが、グラントがそれを許さない。要塞の中では悲観論が支配するようになり、2月16日に無条件降伏した。この成功で、北軍は南軍の河川補給を遮断し、グラントは「無条件降伏のグランド」と呼ばれる。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。