近代思想12-ダーウィン「種の起源」

1859年チャールズ・ダーウィンの「種の起源」が出版された。言うまでもなく生物進化論の代表的著作である。彼は、ピーグル号に乗って世界一周した経験や、マルサスの人口論などに影響されて、革命的な「自然選択説」を提唱した。すなわち、環境に適応した性質を持つ個体が生き残ってそれが定着して進化が起きる。

進化論の起因は地質学である。キュヴィエは、マンモスが現存の象とは異なることを証明した。その後も地質学が発展して、過去と現在の動物が違うことが明らかになった。そして19世紀になるとラマルクが「用不要説」によって、生物進化の合理的理論を提出した。

ダーウィンの背景は自然神学だった。神は自然を合理的に創造し、その摂理を探り当てるのが科学の役割であり、神と科学は矛盾しない。しかしダーウィンは、不正や差別や戦争が相次ぐこの世界を神が合理的につくったことに疑いを持つようになっていくのだ。

そして彼が到達した考えが何と戦いによって生物は進化するという考えだった。これは近代社会の国家や経済の戦いが反映している。その結果高等生物ができたと結論づける。この進化論はこの後「社会的ダーウィニズム」となって、勝つことが正義という資本主義の思想に一般化された。彼は多分そんなことは望んでなかったろうが。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。