ロマン派の時代48-オペラ「ファウスト」

ナポレオン3世は、共和主義者に対抗するためにカトリックを利用し、カトリックもそれに乗った、そのため帝政が倒れるとまた反カトリックが起きるのだが。ともかくその象徴ともいえる作曲家がシャルル・グノーであり、彼は敬虔なカトリックで、有名なアヴェ・マリアをはじめとする宗教曲もつくっている。

そしてグノーが大当たりを取ったオペラが何とゲーテの書いた「ファウスト」である。ファウストは西洋文化に多大な影響を与えたが、それをオペラにしようなどとする者は居なかった。グノーはファウストを愛読し、1852年からオペラの構想を練り始め、1859年に初演された。

オペラの主役は、ファウストに捨てられて最後に彼を救済するマルガレーテである。オペラでは、宝石に誘惑されてファウストを愛し、子供まで殺してしまうマルガレーテの苦悩が描かれる。しかも第4幕では、教会から拒絶され、兄からは呪いの言葉を投げつけられる。

再終幕では、マルガレーテは牢獄の中でファウストの誘いを拒絶し、何と神自身に救われ昇天してゆくのだ。おまけに悪魔メフィストフェレスは、大天使ミカエルに倒されることになっている、主人公のはずのファウストはそっちのけとなる。さすがにここまで違うとご本家ドイツでは違和感があり、タイトルは「マルガレーテ」とされている。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。