近代と信仰11-聖母と奇跡と皇帝

ルルドの奇跡は新聞にも載って、各地から巡礼者や病人が押し掛けた。この騒ぎに、政府の宗教担当大臣は、異端の恐れがあり、衛生的にもよくないという理由で、この洞窟を封鎖してしまった。人々との間で何度も小競り合いが起きる。婦人が名をあかしたことで司祭は奇跡を信じたが、司教は躊躇した。

そんな中なんと1858年7月28日、皇太子の乳母まで病気がちな皇太子のためにルルドの水を求めて訪問する。それをきっかけにルルドの噂を聞いた皇帝ナポレオン3世はルルドの柵の撤去を直々に命じた。皇帝は如才なく、無原罪のお宿りの教義を発表した教皇ピウス9世の肩をもってカトリック信者のご機嫌を取ったのだ。

皇帝がGoをしたのに、司教が黙っているわけはない。大々的に奇跡調査が命じられ、医者や治癒者を調べるわ、少女ベルナデッタにも何回も質問が浴びせられた。かなり綿密な調査やら司教の思惑やらがあって結局1882年にルルドの奇跡は正式に承認され、日本にも各地にルルドを模した洞窟ができている。

そして天界では、「どーおイエスちゃん、私のお手並みは?」「恐れ入りましたお母様しかし何やらまだすすめるようで」「ふふふ序の口序の口」「マリア様、あなたは神ではありませんから少しお控えくださらないと」「あーまたルターったら理屈で奇跡はわかりませんよーだ、行くわよ聖女達」

0コメント

  • 1000 / 1000

キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。