第2回十字軍3カリスマ、サンベルナール

第1回はウルバヌス2世の演説が成功したが、第2回はそれにも勝る人物がひっぱり出された。サン・ベルナールことクレヴォーのベルナルドゥスである。彼はクリュニーにかわりシトー会修道院を押し上げたカリスマ、12世紀を「聖ベルナルドゥスの世紀」というほど、広範な影響力を発揮した。

シトー会は、聖ベネディクトの原点に帰れと、禁欲と労働の厳しい戒律をつくった。しかしブルゴーニュでは人気がなく、少ない修道士は一人また一人と死んでいった。院長が神に問うたところ「もうすぐ男が来るというお告げ」。程なくベルナールが来た、自分だけではなく、30人の男を説得して連れて。

痩せ、禁欲を熱烈に説く彼は、すぐカリスマとなり、民衆は見て聞いて触りたがった、何せ触れると病が治るというのだから。彼は贅沢になったクリュニーを食事に至るまで細かく批判「とても全部たべられなかった」と書いているが、彼は生来胃弱だった。シトー会はさらに森の奥地を開墾し、教皇を出すまでの勢力となる。

ベルナールは結局ひっぱり出された。ヴェズレーにルイ7世も来て演壇が据えられ、ベルナールの演説が終わると、皆「十字軍へ!十字軍へ!」と叫び、演壇に押し寄せた。数日後「町も村もひとけがなくなった」と彼は教皇に書き送っている。ベルナールは教会分裂を修復し、膨大な著作を残した。しかし彼の意に反して、クレヴォーは大きく増築された。

下は十字軍の演説をする聖ベルナール

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。