第2回十字軍2修道士王と南仏女アリエノ-ル

1137年7月、仏王ルイ7世は、南仏最大の領主アキテーヌ公女アリエノールと遺言に基づき結婚した。アリエノールの祖父は、ロマンチストで、1101十字軍に大軍と共に参加。結局これは失敗したが、アンティオキアに居づき、そこでイスラムの詩を学んだ。故郷に帰った彼はトゥルバドゥールと言われる恋愛詩人となる、ちなみに語源はアラビア語のタラブ(恍惚)とのことだ。

ボルドーの宮廷では、吟遊詩人達が歌を披露する陽気で華やかな宮廷文化が花咲いた。アリエノールはそういう血筋と伝統を持って「世界の薔薇」と讃えられるほど美しく育った。そして南仏では、長男相続はされず、彼女こそフランス3分の1の領土の相続人、15歳。

一方ルイ7世当時16歳、実は次男でサン・ドニ修道院で育ち、そのまま聖職者となるはずが、兄の死去で王となった。趣味が読書という地味男。アリエノールが夢見ていたのは、詩に登場する姫を守る騎士だった。彼女は後に「王と結婚したと思ったんだけど、修道士だったの」と言う。

ボルドーでの華やかな婚礼のさ中、父ルイ7世が崩御し、2人は王と王妃として、パリに戻ることとなった。そしてパリでも王は何と修道服を着て神学と讃美歌にせいを出す。そしてパリではアベラールとエロイーズの恋愛事件が起こった。情熱をもてあますアリエノールに第2回十字軍行きの道ができる。

下はジャン・ヴィニョー作アベラールとエロイーズ

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。