帝国の時代10-パリ大改造

皇帝となったナポレオン3世は、1世のように武力で国民の人気と承認を得ようとしたのではなく、経済成長によってだった。彼は、イギリスのように産業資本家を育成しようとしたが、安定的な国債に依存していたフランスの金融は及び腰だった。そこへ現れたのが、クレディ・モビリエというベンチャー金融である。

クレディ・モビリエは、社会主義者サン・シモン主義者のユダヤ人銀行家ペレール兄弟が設立した銀行で、少額の元利保証の社債を大量に発行した。これに小金を貯めていたブルジョアが群がったのである。しかも皇帝は、開発利権の期限を99年まで認める大統領令を出し、これで長期投資がしやすくなった。

政府はパリを中心とした鉄道敷設計画を出し、フランスに大鉄道ブームが到来した。この鉄道網は「ルグランの星」と呼ばれる。その関連で、製鉄や炭鉱にも投資が行われ、フランスの工業化は飛躍的に進む。そして皇帝がやるのは、有名なパリ大改造である。

パリは中世の名残が残る上に、民衆が流入したので、不衛生な都市になり、これが革命の原因だと皇帝はみていた。1853年にセーヌ県知事に就任したジョルジュ・オスマンは現在のパリに見られる放射線状の道路に沿った都市計画を行った。同時に労働者の共同住宅や公共浴場も整備していったのである。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。