帝国の時代11-パリ万国博覧会

1855年、皇帝ナポレオン3世は、自分の改革を世界に見せつけるために「パリ万国博覧会」を開催した。1世が他国に侵攻したのと真逆で、他国を呼んできて権威を見せるというわけだ。最初の国際博覧会は、1851年のロンドンで行われて成功したが、皇帝はそれに「万国博覧会」という名前をつけた。

パリ万博のためにガラスと鉄で建築された斬新的な「産業宮」が建てられ、人々の耳目を集めた。参加国は25カ国、出展品は5万点にのぼった。産業宮に収まらない展示品とりわけ工業製品は機械宮に収められ、国民に蒸気機関など産業革命の成果を実地教育するのに大いに役立った。

そして皇帝は農業も万博にとりこみ、ここでボルドーワインの第一級から五級までの格付けを命じた。またクリスタルグラスメーカーのバカラがグランプリを取り、製品の国際PRに大いに役立った。実にこの場で国際的に公認を得た「ブランド」ができたのである。

またパリ万博に先立って、皇帝は訪英してヴィクトリア女王に謁見した。この訪問によって、イギリスのナポレオン嫌いを払拭し、英仏融和を印象づけ、万国博へのイギリスの出展を促進し、フランスブランドの確立にも貢献した。なかなか外交的にも巧みな戦略をとっていた。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。