帝国の時代7-クリミア戦争に使われた電信

クリミア戦争は、電信という情報革命が利用された最初の戦争だった。この戦争はまたロンドンのタイムス社から、特派員が初めて戦地に派遣され、電信によって日々の戦況がニュースに踊った。ナイチンゲールもそれを見て危機感を募らせたし、ロンドンの上官は、ニュースに踊らされて、いちいち指示を出した。

電気テクノロジーは1752年のフランクリンの実験から、驚くべき速さで進歩した。1830年にはファラデーとジョセフ・ヘンリーが電磁誘導を発見、シェリングやガウスが、電気を送ることで、電磁石を動かして、信号を描くという実験を行う。そして37年アメリカのモールスがジョセフ・ヘンリーの指導のもとで、モールス信号を開発した。

アメリカ合衆国は、ワシントンDCからアナポリスまで、電線を敷設し、44年5月1日にボルチモアでヘンリー・クレイが大統領候補に選ばれた情報を、鉄道でアナポリスまで運び、そこから電信でワシントンに送ることに成功した。これをきっかけに、電信は欧米に普及していく。

当時の電信はもちろん有線式である。クリミア戦争では、ナポレオン3世が、英仏共同で、リビアのトリポリまで電線を敷設し、そこから本国に情報が送られた。1867年には大西洋横断電線ケーブルが敷設され、電信は世界中に広がり、シャーロックホームズの探偵小説の必須アイテムとなる。

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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。