「帝国は平和だ」という言葉は有名になり、1852年10月、ルイ・ナポレオンが歴訪を終えてパリに帰ったとき、パリ民衆はすっかりその気で「皇帝万歳」と彼を迎えた。とにかく市民は王政やら革命騒ぎにすっかり飽き飽きして、ナポレオンのようなリーダーを求めていたのである、懲りないったら。
ルイはそれでも慎重だったが、11月になると元老院に帝国問題の検討を依頼した。元老院はもうナポレオンの息のかかったものばかりで、帝国再建の建議を国民投票にかけることにした。国民投票は圧倒的多数で、帝国再建を決定した。ナポレオンは民衆の声に応える形で皇帝を受諾した。
国民に選ばれた皇帝、フランスは当時アルジェリアや国外領土を持っているのだから帝国といっても過言ではない。オーストリアには皇帝がおり、民主的だったフランクフルト議会でも、プロイセン王をドイツ皇帝に選ぼうとしたのだから、そんなに奇異でもないのである。
ルイは、受諾演説で、自分は寛容をもって望み、党派には属さない。誰のいうことも聞き、何よりも貧困をなくすのが使命だと言った。まあ二月革命を行って、またもや政治闘争で揉めまくったあげくがこれである。ある意味、皇帝のもとで一つになるというのは、社会主義者が望んだことの結末ともいえるのだ。
キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民
キリスト教なしに西洋史は読めないというほど深く痕跡を残しています。そういうキリスト教を念頭に置きながら、西洋史を読んでいこうと思います。もちろん批判的観点もおおいにアリ。 ローマ時代コンスタンティヌスから始まる長い物語、お楽しみいただければ幸いです。
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